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てんかん専門外来Facilities

てんかん専門外来(要予約)

  • [担当医]下村次郎先生
  • [受 診]お電話か受付にてご予約承ります。

下村先生の通常の外来と平行して行います。
(場合によっては土曜日も予約可能です。ただし再診の方に限ります。)

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てんかんについて

てんかんは、脳の異常な電気活動によって引き起こされる発作(てんかん発作)を繰り返す病気です。 てんかん発作の症状は、急に意識を失って倒れたり、体が硬直したり、顔や手足がけいれんしたり、あるいは目の前 に光るものが見えたり、胸にムカムカする上快感を覚えたり、と人によって様々です。

てんかんは人口の1%弱にみられ、決して珍しい病気ではありません。てんかんの多くは子供の頃に発病し、 発作は7〜8割の方は比較的容易に抑制されますが、2割くらいの方は難治に経過します。
てんかんの治療で大切なことは、発作の症状に合った薬を見つけ出すことです。

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熱性けいれんについて

熱性けいれんてどんな病気?

熱性けいれんは体温上昇に伴ってからだがひきつける(けいれんする)状態をいいます。熱性けいれんはおよそ生後6ヶ月から5歳頃までの幼小児期にみられ、通常は38.0℃以上の高い熱により引き起こされます。ただし原因が中枢神経系の感染症(髄膜炎や脳炎など)である場合は熱性けいれんとはいいません。また熱性けいれんは体温上昇時に反応性におこる発作であり、熱の有る無しにかかわらず発作を繰り返すてんかんとは異なります。

熱性けいれんは、原因の一つとして遺伝の関与が考えられていますが、そのほとんどが後遺症を来すこともなく小学校に入学する頃までには治まってしまう良性の病気なのです。
では、熱性けいれんについて少し詳しく説明します。

熱性けいれんの頻度

熱性けいれんは男児にやや多くみられ、頻度は100人に5-8人といわれています。ですから熱性けいれんは決してまれな病気ではありません。

熱性けいれんの型

熱性けいれんは単純型と複雑型に分けられます。単純型は全身のけいれん発作であり、持続は1〜2分(長くても15分)、24時間以内の再発のないものです。一方複雑型とは、けいれんが身体の一側に強かったり、15分以上持続したり何回も繰り返して起る、あるいは24時間以内に2回以上起ったりするものです。熱性けいれん初発時のおよそ70%が単純型で30%が複雑型といわれています。

熱性けいれんを起こす回数

約半数の方は初発時のみの1回で終わってしまいます。そして子供のあいだに2回熱性けいれんを起こす人は32%、3回起こす人は15%、4回以上の人は7%といわれています。このことから、多くの人は1回か2回だけで終わってしまうことがわかります。
熱性けいれんを繰り返す危険因子としては、複雑型熱性けいれんであること、初発年齢が1歳未満と低いこと、比較的低い体温(38℃前後)でのけいれん出現、てんかんあるいは熱性けいれんの方が家系内にいることなどがあげられます。

けいれんが起こったら

誰しもけいれん発作を目の当たりにすると非常にびっくりし、動揺することと思います。冷静に対処するなどできなくて当たり前です。それでも少しでも心に余裕があれば、けいれんしているお子さんが怪我をするような状況にないか見てください。ぶつかる物があればどけてあげてください。顔が上を向いていれば少し横に向けるといいでしょう。舌を噛むことはめったにありません。むやみに口の中に指や物を入れない方がいいです。
1、2分でけいれんが終われば通常心配いりません。けいれんが初めての場合は他の脳の病気がないか診察を受け、熱性けいれんであればその予防について説明を受けてください。

熱性けいれんの予防

熱性けいれんの予防としてけいれんを抑える薬を用いることがあります。
座薬を使うことが多いのですが、その場合、37.5℃以上の体温上昇がみられたら、決められた量の座薬を挿入し、8時間後にまだ熱が続いていればもう1回挿入します。ときに薬による眠気、ふらつき、興奮などの副作用が出ることがありますのでその時は主治医に相談して薬の量を調整してもらいましょう。

熱性けいれんと予防接種

熱性けいれんをもつお子さんに対しても予防接種は可能です。ただ予防接種によってはときに発熱の副反応がみられますので、主治医とよく相談してください。

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てんかんの治療薬

てんかんの治療薬について

てんかんの治療は薬物治療(抗てんかん薬)が主体です。

抗てんかん薬の歴史は、約150年前、臭化物が痙攣発作に有効であったことに始まります。

日本では、1944年にフェノバルビバール、1953年にフェニトインが発売され、その後現在までおよそ20種類近くの薬剤がてんかんの治療に使われています。(表)

このうち新規抗てんかん薬は、それまでの薬剤に比べて、他の薬剤の血中濃度への影響が少ない、あるいは眠気など学校生活や日常生活に影響する副作用が比較的少ない等の特徴があります。

これらの抗てんかん薬は、どの発作にも有効なわけではありません。それぞれの発作にふさわしい薬剤を選んで使用しなくてはなりません。

薬物治療の基本

てんかん発作は、大脳の全体に電気的異常が起こる全般発作と一側の大脳半球の一部に電気的異常が起こる部分発作に分類されます。

部分発作ではカルバマゼピンが第一選択薬であり、全般発作ではバルプロ酸が第一選択とされています。

薬剤の選択には発作型の正しい診断が重要であり、発作型診断の誤りから薬剤選択を間違えると発作が増悪することもあります。

たとえば、全般発作の欠神発作やミオクロニー発作に対してカルバマゼピンを使用すると、発作が増悪します。
また正しい選択であっても思わぬ副作用が出現することもあり注意が必要です。

比較的遭遇することの多い副作用は、眠気、吐き気や食欲上振、ときに薬疹といわれる発疹や発熱です。

基本的に、薬は副作用に注意しながらゆっくり増量して必要な量までもっていくことが重要です。

眠気などの副作用に対しては、一時減量してからさらにゆっくり増量することで副作用を軽減することもできます。

それでも症状が続く場合は薬剤を減量中止して、他の薬剤に変更しなくてはなりません。
薬疹がみられた場合には、すぐに薬剤を中止しなければなりません。
速やかに主治医に連絡することが大切です。

新規抗てんかん薬

我が国では2006年のガバペンチン発売以降、トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタムと新薬が続いて発売されています。

ガバペンチン、トピラマート、レベチラセタムは成人の部分発作に、ラモトリギンは成人および小児の部分発作、強直間代発作、およびレノックス・ガストー症候群に適応があります。

これらの薬剤は現在単独での使用はみとめられておらず、他の薬剤に併用して使われています。

トピラマートは部分発作のほかに難治な痙攣発作に有効なことがあります。
ラモトリギンは部分発作や欠神発作など比較的対応する発作が多いことが特徴です。

レベチラセタムは作用機序が他の薬剤と異なるユニークな薬ですが、部分発作やミオクロニー発作に効果があります。

既存の抗てんかん薬と新規抗てんかん薬では、どちらが有効かということは一概にいえません。
それぞれの患者さんで効果は異なります。
それまで難治に経過していた発作が新規抗てんかん薬で消失した方もいれば、新規抗てんかん薬はあまり効果がなく、結局既存の抗てんかん薬の調整で発作が消失した方もいます。

抗てんかん薬の種類が増えるといことは、患者さんにとって、治療の選択肢が増えるという点で意義があるといえます。

(表)わが国における抗てんかん薬(既存の抗てんかん薬)

  • 1944: フェノバルビタール
  • 1949: トリメタジオン
  • 1953: フェニトイン
  • 1956: プリミドン 既存の抗てんかん薬
  • 1949: トリメタジオン
  • 1953: フェニトイン
  • 1956: プリミドン
  • 1960: エトトイン
  • 1962: アセチルフェネトライド
  • 1964: エトスクシミド
  • 1975: バルプロ酸ナトリウム
  • 1978: カルバマゼピン
  • 1981: クロナゼパム
  • 1989: ゾニサミド
  • 2000: クロバザム

(表)わが国における抗てんかん薬(新規抗てんかん薬)

  • 2006: ガバペンチン
  • 2007: トピラマート
  • 2008: ラモトリギン
  • 2010: レベチラセタム
  • 2013以降: 希少疾病用医薬品として
    ルフィナミドがレノックスガストー症候群に
    スチリペントールがドラーベ症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)に適応となりました。
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